ソバの伝説

ソバの花が一面に咲いていると、深まりゆく秋のけはいがひしひしと感じられます。

ソバの花と対象的にソバのくきは、あざやかな赤い色をしています。

 ソバは涼しい土地がすきで、むかしから山のはたけによく作られておりました。

 そんな人里をはなれた山で作られることから、ソバにはいろいろの伝説があります。

その一つをお話してみましょう。

 むかし、むかしのことですがある山のソバ畑で子どもたちがあそんでおりました。

 ところが、山のおくからおそろしい山うばが出てきて、子どもをつかまえてたべようとしました。

子どもはおそろしさのあまり、そばにあった木によじのぼり、大きな声で『助けてくれ』とさけび

ました。

すると天から一本のなわが、するするとおりてきました。

子どもはこのこのなわにつかまって、やっとのことでにげることができました。

ところがそれを追いかけた、山うばがなわにすがろうとしたとたん、手をすべらして地べたに落ち

て頭をわって死んでしまいました。

 そのとき山うばの血がとび散ってあたりに生えていたソバが赤くそまりました。

そのときから、ソバのくきは赤くなったといわれております。

 もう一つソバについては、ふしぎなことがあります。

ソバの花は、散らないでくきについたまま、しぼみ枯れていきます。

 みなさんも気をつけて、よくみておいて下さい。


遠山にのこっていたシコクビエ